アドルシュパフ奇岩群。岩の声を聴こうとしたら、ポーランド人に日本語で話しかけられた話
チェコの北部、ポーランドとの国境沿いにあるアドルシュパフ(Adršpach)という地域は、その昔、文豪ゲーテも訪れたという変わった形の大きな岩がそびえ立つ名勝です。
この記事では、そんなアドルシュパフの光景を写真とともにお伝えします。
電車でアドルシュパフに
実はこの日、本当はトゥルノフというガーネットが有名な町に行く予定でした。
朝早くから準備し、電車に乗ってようやく駅についたー!と思ったら、トゥルノフではなく、トルトノフという町に着いていました。
TurnovとTrutnov、ややこしいです。
トルトノフの町を散歩しましたが、刺激的な観光スポットは見当たりませんでした。
同行者からは地獄のような空気が流れ、駅を間違えた私は滝汗をかきます。
仕方なく、近くの観光地を探したところ、トルトノフから電車で50分ほどのところにあるアドルシュパフを発見。
早速電車に乗り込み、山道をガタゴトと大きく揺れながらアドルシュパフに向かいました。
電車の窓からは、のんびりと草をはむ馬が見え、トイレの底からは線路が見えました。
アドルシュパフに到着!入場
駅に到着。
先程の地獄のような空気もトルトノフに置き去りにしてきたので、弾む心で入場ゲートに向かいます。
ゲートは駅の直ぐ近くにあり、入場券が必要です。
私達は事前にオンラインで購入していたので、メールに送られてくるQRコードを係員にスキャンしてもらい入場しました。
1時間ごとに入場者数が制限されているので、もしここを訪れようと思う方は事前にオンラインでチケットを購入されておく事をオススメします。
チケットは、こちら↓の公式サイトから購入出来ます(英語)。
https://www.adrspasskeskaly.cz/en
値段は時間によって異なりますが、私達は一人110CZK (約550円)で入場しました。
内部にはトイレやレストランは無いので、入場前にゲートのそばにある施設でトイレを済ませ、飲み物を買っておくと良いです。
入場すると目の前に広がる美しい湖
30分あればゆっくりと1周できます。
奇岩群へ向かう
トイレに行きたくなったら、このタイミングで一旦ゲートから出てトイレに向かいましょう。
ゲートの係員さんに事情を説明すれば、再入場がスムーズにできます。
林の中に白い砂が敷かれた道を歩いてゆくと、不思議な形の岩が見えてきます。
おお!デカイ!と思わず声が出てしまうほど大きな岩が、道の真ん中に立っていました。
今にも倒れそうで、心配になります。
岩の近くに行ってみると、なぜ岩がまっすぐ立っていられるか解りました。
心の支え。
同行者は、こういうところチェコっぽい、とつぶやいていました。
この岩には「エリシュカの塔」という名前がつけられています。
先に進むと、何やら人だかりが。
ここにはゴシック様式の門があります。
「ゴシック様式の」というのは少し大げさですが、岩の間にあるとなんとなく風情があります。
皆ここに立ち止まって写真を撮っていたので、人だかりができていたのでした。
門をくぐって先に進みます。
岩の声が聴こえます
岩の割れ目に作られた道を歩いていると、岩の声が聴こえるような気がします。
もちろん実際には何も聴こえませんが、気分は地球の声が聴こえる人間です。
ガイアの声が聴こえますか?
エレファント・スクエアと名付けられたこの広場の岩には、苔や植物が生えています。
写真を撮りながら「モヤシみたいだね」などと喋っていると、「ニホンジンデスカ?」と後ろからいきなり喋りかけられました。驚いて振り向くと、お兄さんがニコニコと立っていました。
なんでも日本に3年ほど住んでいたポーランド人の方で、今度は自転車で日本を1周したいと言っていました。
岩に話しかけられる事はできませんでしたが、まさかこんなチェコの岩の中でポーランド人に日本語で話しかけられるとは思いませんでした。
3年もチェコに住んでいる私と違い、彼はとても流暢な日本語でした。
分け入っても分け入ってもでかい岩
進んでも進んでも岩ばかりです。
しかしこのアドルシュパフ公園は、飽きさせないよう工夫がされています。
岩の内部を歩き回った後は、突如として登山が始まります。
いきなり運動が始まり、退屈している暇はありません。
もちろん子供連れやベビーカー、足の不自由な方のためのコースもあるので、足に自身のない方はそちらも楽しむことができます。
ゼエゼエ息を切らしながら山道を登っていると、向こうには不思議な形の巨岩が見えます。
抱擁し合う岩。
キスをする人に見えなくもありません。「The Lovers」という名前の岩です。
こちらは向かい合う2人。「Mayor and Mayoress」(町長と町長婦人)という名前がつけられた岩だそうです。
確かにそう見えなくもないです。
よく見ると、左の岩に人がいます。頭の上からロープで降りています。
そもそも、どうやって頭の上まで登ったのだろう。
山を下ってゆくと、細い岩の割れ目が。
横の看板には「注意!幅は50cmです」と書いてあります。
絶対ここに詰まった人がいる!
数年前にプラハで一番狭い道に詰まって動けなくなった人がいましたが、この岩の割れ目はその道よりももっと狭いです。
体格の良い方は注意が必要です。
ようやく隙間を抜け、ホッとしていると上から砂が降ってきました。
見上げると、先程のようにロープで人が降りています。
いやいや、ここでやるなし。もし落ちたらどうするんだろうと思いましたが、こういうところもチェコの良いところであり悪いところでもあります。
日本人の感覚からすると、制限してほしいところではありますが。
そんなわけで、帰りにもう一度湖を眺め、電車に乗って帰りました。
久しぶりに山に登り、足がつかれましたがとても良い場所だったので、また行こうと思っています。