🇯🇵サントリーホール2019年10月

サントリーホール

 サントリーホールは、僕にとって憧れのホールである。

中学生だった頃、父に連れられてブーニンのリサイタルを聴いたのが初めてのサントリーホール訪問だった。

田舎の少年だった僕にとって、群馬から新幹線に乗り、東京駅から赤坂のサントリーホールまで迷路のような地下鉄を通ったこと、そしてどこかでご飯を食べて演奏会にいき目の前でブーニンがピアノを弾いていたこと。

ホールの美しい内装や、正面にデデーンとそびえるパイプオルガン、何よりもワインヤードと言われる、ステージを囲むように配置された客席。

おそらくあの日は、音楽家として活動する一つの大きなきっかけとなった日だった。

 それからも父はちょくちょくサントリーホールでゴールウェイやらアルゲリッチやら、スター演奏家のコンサートに出かけては、誰の演奏会はどうだったと感想を言っていた。

僕も京都市立芸大で学生をしている間にも、何度かオーケストラの演奏会などを聴きに東京へ行った。

10年ほど前に父は亡くなり、僕もドイツに留学していたのでサントリーホールに行くことはなかったし、サントリーホールの存在もほとんど忘れかけていた。


サントリーホールデビュー


2019年、僕は運良くチェコフィルハーモニーに入団し、その年にあった日本ツアーでは夢のサントリーホールで演奏することができた。

憧れのホールは音響も、控え室も、そして何より演奏会場に来て頂いたお客さんが本当に素晴らしかった。

演奏中にも、客席から耳を澄ませている様子が伝わってくる。

世界中の様々なホールで演奏したけれど、サントリーホールは最高のホールであることに間違いはなかった。

このような素晴らしいホールが日本にあることは、日本人として本当に誇りに思う。

またいつか、サントリーホールで演奏できることが、一日でも早く訪れるよう願うばかりである。


弟がはるばる演奏会を聴きに来てくれたり、京都から友人がはるばると聴きに来てくれた。

とても感激したし、この日の出来事は僕には忘れることが出来ないだろう。

音楽家として活動する上で、大切な一日となった日であった。



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