Cielをフルートの木製頭部管につけた演奏感と、やめた理由

フルートの音を変えるパーツ”Ciel”

 フルートの音色を変えるパーツは数多く販売されている。

最も有名なのが、『refreQue』という金属の板2枚をゴムバンドで固定するものだろう。

コンセルトヘボウのエミリー・バイノンや、最近ではエマニュエル・パユがこれをつけて演奏しているのを目にした。

僕自身も何度かつけて吹いた事があるけど、あまり効果的ではないと思った。

そういうわけで、この類のものはなんとなく胡散臭く感じていた。

先日ユーチューブを見ていたら、お姉さんがフルートにCielなるパーツを付けて吹いていて、かなり音色が変わっていたので興味が出て購入してみた。

ちなみに件の動画はこれ↓


アマゾン.comで注文し、アメリカからチェコの自宅に1週間もしないで届いた。


使用感


早速開封して頭部管につけてみた。

金属の板にシリコンのような粘着質の部分がついており、何度も剥がして貼り直すことができるようになっていた。シリコンの部分は割と丈夫である。


試していてわかったが、このパーツはただ貼り付けただけでは効果を発揮せず、くっつける場所を厳密に吟味しないといけなかった。

場所によっては音色を逆に大きく損なってしまったり、鳴りが悪くなったりした。

本体や足部管でも試したけれど、頭部管が一番効果があった。

ただ貼り付ければ音色が変わるような、魔法のパーツではないということがわかった。

ほんのちょっとずれるだけで、性能が大きく変わる。


200回くらい頭部管のありとあらゆる場所に貼り直していたら粘着力が無くなって、最終的には木工用ボンドで固定した。

良いと納得できるポイントを探し当てるのに1週間ほどかかった。

結果的に貼り付けた位置がこちら↓


良かった点


吹奏感が良くなり、音量が大きくなった。

吹きながらこのCielを触ってみると、共鳴しているのか良く振動していた。
そういうわけで割と満足したので、オーケストラの本番で使ってみた。


問題点とやめた理由


演奏会で使ってみて様々なことがわかった。

このCielを使うと音がかなり通ってしまい、オーケストラでは必要以上にフルートの音色が目立ってしまった。

周りの楽器の音色に溶け込ますことが難しく、金属的な鋭い音色が、木製のよく通る音色にミックスされて、後で録音を聴いていてもなかなか辛い音であった。

それからもう一つの問題が、かなり音程に影響を与えていた。

なぜCielをくっつけると音程が悪くなるのか原理が僕にはよくわからないけれど、とにかく特定の音で音程が低くなる傾向があった。


木製の頭部管につけると、かなり金属的な要素が音色に加わるのでうまく使いこなせれば効果を挙げられるかもしれない。

僕自身、音量はかなり大きい方なのでこのようなパーツに頼る必要が無いのと、アンサンブルをする上でのデメリットが大きすぎるので、今後Cielを使用することはしばらく無いと思う。


またなにか良いパーツを見つけたら使用してみるつもりではあるけれど。



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