(フルート)タンギングのトレーニング方法


この記事では、シングルタンギングやダブルタンギングだけでなく、色々な種類の発音を練習する方法を説明します。

タンギングとは、唇から空気が出るのを舌で止めておき、発音時に舌を離すことで空気をアンブシュアから放出します。

音楽の表現をするために、弦楽器ではボウイングを利用しますがフルートではタンギングします。

アナウンサーが言葉をはっきりと伝えるために発音の練習をするように、フルート奏者も音楽の細かい表現を伝えるためにタンギングの訓練が必要になります。

タンギングの位置


タンギングを口のどの位置でするべきか、フルートの教則本には様々な意見が書かれています。

唇から舌が見え、いちじくの種を飛ばすようなイメージでタンギングすると良いと紹介されていたり、前歯の裏に舌をあてるよう書かれていたり。国や時代によって、タンギングはこうしたら良いと言う方法はかなり異なります。
こうしなければならないという絶対的なやり方はありません。

自分にとって自然にできるタンギングだけでなく、普段使ったことのないタンギングを練習することで表現の幅が広がります。
パレットの色を増やすように、柔らかいものから力強いものまで練習してみてください。

シングルタンギング


今回の項目では、次の5つの発音によるシングルタンギングを練習します。

1、唇の間に舌先をあてる”Pf”

2、上の前歯に舌先を当てて発音する、”th”

3、前歯の歯茎に舌先を当てて発音する”T”

4、日本語の「ル」に近い、舌を口の上部に当てて発音する”dL”

5、ダブルタンギングで使う”k”

これらのタンギングを使って以下の譜例を毎日少しずつ練習すれば、様々なタンギングを使い分けられるようになります。

練習1


まずは、単音で様々なタンギングを試してみましょう。


1、”Pf”

2、”th”

3、”T”

4、”dL”

5、”k”

ある程度できるようになったら、色々なリズムで練習します。




音域を変えることも良い練習になります。



練習2


次はモイーズの「24の旋律的小練習と簡単な変奏」の第1番を利用して練習します。

ここではできるだけ音をつなげつつ、ぼやけないように発音することを心がけましょう。

5種類のタンギングで練習します。
移調してみることも良い練習になります。



リズムを変えることも良い練習になります。



練習3


モーツァルトの「フルートとハープのための協奏曲」より、第3楽章の例です。
この例では、できるだけはっきりとしたクリアで美しい発音のタンギングを目指します。





練習4


バッハのパルティータです。

バロックの発音を意識してみましょう。

移調して練習します。

ト短調

ヘ短調

練習5


イベールの協奏曲を、シングルタンギングで吹いてみましょう


練習6


バッハの「フルートソナタ ハ長調」です。
繰り返し後には1オクターブ上げてみるのも良い練習です。


ダブルタンギング


次はダブルタンギングの練習です。

練習1


ダブルタンギングはできるだけ空気を流すようなイメージで吹きます。速く発音しようとするあまり、硬くなったり乱暴にならないように注意しましょう。軽やかに、高速でおしゃべりしているようなイメージで吹きます。






練習2


次の例はメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」から、スケルツォの最後のフルートソロです。

スタッカートで、一つ一つの音の粒立ち良く発音しましょう。


練習3


ベリオのセクエンツァの一節は、限界を越えた速さでダブルタンギングするための良い練習になります。


練習4


リムスキー・コルサコフの「ロシアのイースター序曲」より。

息をできるだけ節約して吹ききりましょう。






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