トリルの練習

 フルートの場合、タンギングやアンブシュアのための練習と同じく、トリルも練習する必要があります。

トリルを練習することで指がスムーズに動くようになりますが、毎日練習することは意外とおろそかになってしまいがちです。

今回は、どのようにトリルを練習すればよいか、2分ほどで毎日簡単にできる練習方法をまとめてみました。


トリルについて


まずトリルの練習をする前に、いくつか気をつけなければいけないことがあります。

練習を始める前に以下の3点を確認しておきましょう。


1. 手や腕の力を抜く

指を無理やり動かそうとして力んでしまうと、かえって指が動かなくなるばかりか、腱鞘炎になるなど手が故障する原因となってしまいます。

トリルを練習しているときには常に、手や腕がリラックスしているか注意を払いましょう。

指を速く動かす必要はありません。トリルの練習は手や腕の不必要な力を抜く練習にもなり、結果的に指がコントロールしやすくなります。


2. キーを叩きすぎない

トリルをする時にキーを叩きすぎている場合、手や腕に力が入りすぎています。

パコパコとキーを叩く音が高いと、美しいトリルにならないので気をつけましょう。


3. 指を上げすぎない

トリルする時に、指を上げすぎないよう注意されることがあります。
しかし私は、手や腕がリラックスしていれば指を上げすぎても問題ないと考えています。

手の形の見た目が美しいのは良いことですが、指をフルートのキーに近い位置でキープする時に、手の甲に不必要な緊張が起こってしまうことがあります。
自身の手の性質にあった、自然にできるやり方で良いと思います。

レッスンでは指や手の形を注意することの多い先生でも、速いパッセージやレガートがあまり上手でない方に、いままで何人も出会いました。逆に指の形がおかしくても、レガートが美しかったり、スムーズに指が動く奏者にも出会いました。

そういう理由で、手や指の形が美しいことと、指が動きやすいかどうかは全く関連性が無いと考えています。


トリルの練習方法


ここからは譜例を用いて、実際にどのようにトリルを練習すればよいかご紹介します。

トリルの有名な練習曲は、タファネル=ゴーベールの日課練習の一番最後の第17番があります。

しかし、あまりに長いのでこれを練習すると手が疲れてしまったり、途中で集中力が切れてしまい、個人的にはあまり効率的な練習とはならない気がしています。

そのため、もっと簡単に、必要な指に焦点を当てて練習したほうが良いでしょう。

常に同じ指を使っていると疲れがたまるので、短い時間で左右の手を交互に使って練習できるものを作りました。


注意点


・この練習は、くれぐれもやりすぎないように気をつけてください。

・とにかく力を抜くことを意識し、指を早く動かそうとはしないでください。

・理想は1日に2回、感覚を開けて練習すると効果が高いです。練習の前半に一度、後半にもう一度やることをおすすめします。

・時間がなかったり、やる気がない場合には、薬指と小指の練習だけでも効果があります。


1. 薬指


最も動かしづらい指、薬指のための練習曲です。

テンポは、四分音符 = 80 あたりにメトロノームをセットして行なってください。

はじめの二段は後打音をつけ、後半からは後打音無しで練習します。

手や腕の力を抜くことを、くれぐれも忘れないでください。



2. 小指


小指も動かしづらい指です。
第3オクターブのD-Esのトリルは、左手小指のgisレバーを使ったトリルを使ってください。
指を早く動かそうと力まず、あくまでもリラックスしてトリルをできる速度で十分です。腕や手の甲に不必要な緊張をしないように注意してください。


3. 中指

意外に速く動かないのが中指です。
こちらもリラックスして練習してください。



4. 中指と薬指

中指と薬指を同時に使ったトリルです。

後打音を入れるタイミングに注意が必要です。

メトロノームを少し遅めにしても良いかもしれません。


終わりに


これらの練習を通すと、2分もかからずに終わります。

簡単にでき、なかなか効果があるので、毎日の練習にぜひ取り入れてみてくださいね。




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