ハンブルク🇩🇪ヨーロッパツアー2022年3月その3


チェコフィルハーモニーでは、2022年3月にオーストリア、ドイツ、イギリスの三国ツアーを行ないました。

コロナ禍では初めて、2週間にわたる比較的長期間のツアーとなりました。

この記事では、ウィーン、そしてベルリンに続きハンブルクでの公演の様子を書いてみました。 

エルプフィルハーモニー周辺


ハンブルクでは3日間の公演を行ないました。

ここは僕が留学していた町でもあり、3日目の演奏会は降り番で1日空いていたため、今回の滞在をとても楽しみにしていました。

エルプフィルハーモニー外観
エルプフィルハーモニー外観

滞在していたホテルは、ハンブルクの比較的新しく開発が行われている港の、HafenCityという区画にありました。

今回演奏するエルプフィルハーモニーのそばでしたので、ベルリンからハンブルクに到着してホテルに荷物を置いてからすぐに出かけました。
ハンブルクの赤レンガ倉庫街
ハンブルクの赤レンガ倉庫街

この区画には赤レンガ倉庫街があり、観光名所となっています。

ハンブルクはドイツでも最も天気の悪い地域で一年中天気が悪いのですが、ツアーで滞在中は運よく晴天に恵まれました。

散歩をしていると、海洋博物館のそばに銅像を見つけました。

なんとなく、なかやまきんに君を思い出しました。

海洋博物館の像
パワー

エルプフィルハーモニー


一通り散歩して、ミニチュアワンダーランドの近くのコーヒー専門店で買い物を済ませてから、ホテルに戻り休憩、夜は演奏会です。

この日は、スメタナの『我が祖国』です。

18時から30分間音響チェックし、20時から演奏会が始まりました。

音響チェック前に写真
音響チェック前に📸

ハンブルクに留学していた頃、周りのドイツ人はエルプフィルハーモニーの事を「エルフィー」と呼んでいたことを思い出します。

オープンしたての頃のエルプフィルハーモニーの音響は、少し酷いものでした。

2年前にここで演奏した時にも、やたらとヴィオラの音が聴こえてきたりと、アンサンブルし辛い印象でしたが大分改善されていたようです。

特に客席では、ベルリンフィルハーモニーのホールよりもさらに現代的な響きがしました。
エルプフィルハーモニーのホール
エルプフィルハーモニーのホール

ホールの上部には、大きなキノコを逆さまにしたような音響版が設置されています。

今回ホールに来てみて興味深く感じたのは、客席の椅子の厚さでした。

エルプフィルの客席の椅子
エルプフィルの客席の椅子

まるで大きな食パンのような客席の椅子は、座りやすかったです。

エルプフィルは、ベルリンフィルやサントリーホールと同じく、『ワインヤード』と呼ばれるホールです。

日本の『文化会館』にあるような箱型のホールではなく、ステージを丸く囲むように客席が配置されているものをワインヤードと言います。
確かに、ワイン畑のように見えます。

エルプフィルの上部の客席
エルプフィルの上部の客席
せっかくなので一番上の席まで登ってみました。
丘に登るような気分です。
一番上の席に着く頃にはハーハーと息がきれ、ハイキングをしたような気分になりました。

エルプフィルの一番高い席
エルプフィルの一番高い席

ようやく一番上までたどり着きました。
写真で伝わるかわかりませんが、下を見ると結構高くて怖いです。
高所恐怖症の方は、下の方の席を選ぶことをお勧めします。

カフェテリアからの眺め


エルプフィルのホールは地上12階くらいの高い位置にあります。

エルプフィルの楽員用カフェテリアからの眺めが素晴らしかったので、写真を撮りました。
リハーサル前の夕日
リハーサル前の夕日


リハーサル後の夕暮れ
リハーサル後の夕暮れ


演奏会前の夜景
演奏会前の夜景

毎回、演奏会前にこんな素晴らしい景色が見えたら、さぞ気分が良いだろうなと感じました。


ハンブルクでも入場者数に制限があり、お客さんのグループ同士の間には空き席が設けられていました。

それでも暖かい拍手で迎えられ、演奏会はとても好評でした。


2日目

2日目は3月11日で、日の出が6時45分頃でした。

日本ではちょうど地震の発生した時刻でしたので、朝日に向かって祈ることができました。

311の朝の日の出
311の朝の日の出

この日の夜は、カベラーチュの『神秘的な時』、ラフマニノフのピアノ協奏曲第1番、そしてドヴォルジャークの交響曲第8番というプログラムでした。


3日目


ようやく、楽しみにしていた空き日です。

夜に演奏する同僚を尻目に、朝食を食べてコインランドリーで洗濯を済ませてからいそいそと出かけました。

今回は、学生の頃よく行った場所に行こうと決めていました。

内アルスター湖
内アルスター湖

学生の頃、アルスター湖を眺めながら友人と喋ったことを懐かしく思い出します。

ハンブルクに着いてから、何度も心の中で泣いているようなセンチメンタルな気持ちになってしまいました。

過ぎ去った時間の経つ速さに、思いを馳せながら歩きました。

ぼーっと街中を歩いていると、昔住んでいた家に間違えて帰ってしまいそうになります。

住んでいたアパート
住んでいたアパート
昔住んでいたアパートの側には、大きな植物園があります。

夏になるとここで夜に噴水がライトアップされ、観に行きました。

3月の今はまだ、池の水が抜かれてコンクリートの底が見えていました。

植物園の中には、日本庭園もあります。

春になると、かえったばかりのカモのひなが餌をねだってきます。
ハンブルクの日本庭園
ハンブルクの日本庭園

ヘンデルの決闘した広場

ハンブルクオペラのそばには、ゲンゼマルクトという広場があります。

ここでその昔、ハンブルクオペラで第2バイオリン奏者として働いていた、若きヘンデルが決闘をしました。

ゲンゼマルクト
ゲンゼマルクト

広場の石畳には、この広場の歴史が書かれた銅版が埋め込まれています。

学生の頃には、こんな銅版があったことなど知らずに上を何度も通っていました。

あの頃はひたすら上手くなることを考えていたけれど、今は立ち止まる余裕が出来たなあと感慨に耽りながらヘンデルの銅板を探すとありました。
ヘンデルの決闘の記念に
ヘンデルの決闘の記念に


午後には音大時代の恩師と会い、四方山話やフルート談義に花を咲かせました。

齢77になる師匠は、数年前に事故に遭って生死の狭間を彷徨いましたが、マシンガンのようにフルートの話をする姿はとても元気そうでホッとしました。

夜には昔お世話になった方に会い、美味しいビールを飲んで素晴らしい時間を過ごすことができました。

翌日は電車でエッセンに移動して演奏会、次の日にロンドンに向かいました。

ハンブルク中央駅
ハンブルク中央駅

8年間過ごしたハンブルクは、僕にとって第2の故郷と感じるような大切な街でした。



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